シンポジウム
- 門脈圧亢進症と癌
- 門脈圧亢進症の治療 内科・外科・IVR
持田 智(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科)
波多野 悦朗(京都大学 肝胆膵・移植外科)
山上 卓士(高知大学医学部放射線診断・IVR学講座)門脈圧亢進症の各種症候に対する治療法は、薬物療法、内視鏡治療、IVR、外科的治療と多彩である。ガイドラインには各種治療法の有用性が示されているが、これらをどのように使い分けるか、また、併用するのかに関しては、十分なエビデンスが得られていない。静脈瘤の治療では、内視鏡治療のみならず、薬物療法、BRTO、PSE、脾摘などを併用する場合がある。腹水、肝性脳症、門脈血栓症など薬物療法が中心の症候でも、IVRの併用が有用な場合がある。また、肝移植は門脈圧亢進症をきたす原疾患の根治的治療であることも再認識すべきである。一方、肝切除、肝移植などの外科的治療後に、腹水、門脈血栓症などの症候が出現して、内科的治療やIVRを実施する場合もある。本シンポジウムでは、これら内科、外科、放射線科の連携が必要な病態、症候を取り上げて、集学的治療の在り方を議論したい。臨床の現場のニーズに応じた意欲的な演題の応募を期待する。
パネルディスカッション
- 門脈圧亢進症の病態と診断
吉治 仁志(奈良県立医科大学消化器・代謝内科)
丸山 紀史(順天堂大学大学院 消化器画像診断治療学)門脈圧亢進症は肝硬変によるものが多いが、非硬変性門脈圧亢進症 (NCPH)も臨床的に重要である。肝硬変において成因により病態が大きく異なっていることが知られているが、NCPHにおいても門脈の血流障害部位などにより病態は様々である。一方で、成因に関わらず臨床的病態は共通していることが多く、各種静脈瘤、腹水、不顕性脳症を含めた肝性脳症、門脈血栓など多岐にわたる症状を呈する。門脈圧亢進症の診断には、各種内視鏡、CT、MRI、超音波、IVRなど各種モダリティが用いられるが、それぞれの領域において新規開発された技術の臨床応用が進んでおり、病態の診断や治療適応決定が的確に行われるようになりつつある。本セッションでは、門脈圧亢進症を来す肝硬変、NCPHの病態に関する様々な切り口での検討、およびHVPGなどの直接的診断に加えて各種画像や非侵襲的マーカーを用いた門脈圧亢進症の診断に関して基礎・臨床の両面から発表頂き、門脈圧亢進症の病態と診断における今後の方向性を探りたいと考えている。
- 門脈圧亢進症は改善するか?
吉田 寛(日本医科大学消化器外科)
小泉 淳(千葉大学大学院医学研究院画像診断・放射線腫瘍学)門脈圧亢進症では食道胃静脈瘤、難治性腹水、脾機能亢進症、肝性脳症などの病態を呈し、肝硬変など門脈圧亢進症を呈する原疾患の予後を決める因子の一つとして重要である。肝硬変では高い門脈圧により肝内へ門脈血流を送り込む必要があり、単に門脈圧を低下させれば肝不全に陥る危険性がある。門脈圧亢進症に対する診療は日進月歩で発展しているが、門脈圧亢進症を呈する原疾患に対する治療が行われなければ姑息的治療となることは否めない。 近年、門脈圧亢進症を呈する肝硬変の最大の原因であったウイルス性肝炎の治療は劇的に進歩した。しかし、Point of No Return即ち、既に門脈圧亢進症状を呈していた代償性肝硬変においては、SVR後の予後は変わらないとする報告もある。 本パネルディスカッションでは、門脈圧亢進症を呈する原疾患に対する治療法や門脈圧亢進症によって生じる様々な病態に対する治療法を公募し、現状における成績と問題点を整理することにより、門脈圧亢進症診療の新しい潮流を示していただきたい。
- 門脈圧亢進症と臓器相関
厚川 正則(日本医科大学附属病院 消化器・肝臓内科)
石川 剛(山口大学大学院医学系研究科消化器内科学)肝臓は代謝や免疫の中心臓器で、門脈を介して全ての消化器と網内系臓器である脾臓と連絡している。多種多様な機能を有し解剖学的にも人体の要にある肝臓が障害されると、種々の因子が相互に関連して極めて複雑な病態を形成する。さらに門脈圧亢進症は肝内血管抵抗上昇だけに限局する病態ではなく、全身内臓系循環亢進状態を伴うSystemic Diseaseと捉えるべきである。近年、肝臓と他臓器(腎・肺・脾・心・腸・脳・膵など)の密接な関連性(臓器相関)に注目が集まっているものの、各臓器障害の発症機序を含めて未だ不明な点が多く、その解明こそが新たな診断および治療の開発につながるものと考える。本パネルディスカッションでは、門脈圧亢進症における臓器間クロストークにフォーカスをあて、それらに対するトータルマネジメントの構築を目指して、基礎と臨床の両面から熱い議論を展開して頂きたい。
ワークショップ
- 難治性腹水・胸水の治療
寺井 崇二(新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野)
瓦谷 英人(奈良県立医科大学消化器内科学)近年の肝硬変の合併症に対する薬物治療の進歩は目覚ましい。トルバプタンの登場以降、肝性腹水・胸水に対する治療方針は劇的に変化し、治療成績も改善したが、いまだトルバプタンに抵抗・不耐な難治性腹水・胸水症例が一定数存在する。2020年に肝硬変診療ガイドラインが発刊されたが、いまだ肝性腹水・胸水に対する治療法に関して不明な点が多い。本ワークショップでは、難治性腹水・胸水に対する種々の治療法に関する各施設の成績などを発表していただきたい。腹水大量穿刺排液、腹水濾過濃縮再静注法(CART)、腹腔-静脈シャントの効果はもとより、トルバプタンの効果予測因子・長期予後、胸膜癒着術の成績やTIPS・肝移植後の腹水・胸水に関する検討など様々な方面からの活発な報告を期待する。
- 門脈血栓症の診断と治療
於保 和彦(一般財団法人 医療・介護・教育研究財団 柳川病院 内科・消化器内科)
長沖 祐子(マツダ病院 消化器内科)肝硬変診療ガイドライン2020では門脈血栓症に対して抗凝固療法を行うことを提案されているが、現在わが国における門脈血栓症に対する治療はAT-III製剤のみが保険承認されている。自然消滅する門脈血栓も一部認められ、病態や有用な凝固・線溶系マーカーの存在診断など不明な点も多い。治療開始時期や治療期間についてもいまだ定まっておらず、治療薬においてはワーファリンやDOACなどを用いた維持療法も多く試みられ有効性も報告されているが、出血の副作用などリスクベネフィットを検証する必要もある。
本ワークショップでは門脈血栓の診断および治療に対して、病態に応じたベストな治療戦略を明らかにし、エビデンスとともに本学会からの治療指針の確立を目指し、幅広い演題を公募したい。また治療困難例や自施設での工夫なども提示していただき、この領域における現状の課題も活発に議論したい。 - 門脈圧亢進症とサルコペニア~栄養・運動療法を含めて~
正木 勉(香川大学医学部・医学系研究科 消化器・神経内科学)
清水 雅仁(岐阜大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)門脈圧亢進症とサルコペニアは、肝硬変において高頻度に認められる病態であり、同患者の予後やQOLを低下させる。門脈圧亢進症とサルコペニアの関連については、臓器(肝筋)連関に注目して議論する必要があるが、その詳細(例:各病態の合併が、それぞれの病態進行に対して相互的に作用するか?)については、まだ不明な点が多い。また、門脈圧亢進症やサルコペニアに対する治療介入(栄養療法、運動療法、薬物療法等)の現状、さらには各治療が肝硬変患者の予後やQOLに及ぼす影響(例:各病態への介入が、それぞれの病態改善に対して補助的に作用するか?)に関しては、さらなるエビデンスの集積が必要である。本WSでは、各施設における門脈圧亢進症とサルコペニアの診断・予防・治療に関する様々な課題と、臨床・基礎研究の成果について幅広く発表・議論いただき、今後の「肝硬変のトータルマネージメント」のあるべき道筋・目標を模索したい。
若手セッション
趣 旨 | 初期研修医・医学生を筆頭著者とする演題を募集します。若い皆さんに、積極的に勉強して発表を行うことで門脈圧亢進症に興味をもっていただくとともに、臨床における問題解決の基本姿勢を学んでほしいと思います。 |
応募資格 | 演題応募時卒後2年目までの初期研修医、もしくは医学部医学科の学生 |
※参加費については詳細が決まり次第掲載します。
要望演題
- 左側門脈圧亢進症
- 小児の先天性シャントおよび門脈血行異常症
- 類洞閉塞症候群(SOS)~化学療法、肝移植後~
一般演題
第24回肝不全治療研究会
- 「門脈亢進性肺高血圧症の診断」
第11回脾臓研究会
- 主題演題 「脾腫を如何に制御するか」
- 一般演題
第25回BRTO・TIPS研究会
- 「工夫されたBRTO」
- 「TIPSの適用 2022」
- UMINオンライン演題登録システムでは、【Firefox】【Google Chrome】【Internet Explorer】【Microsoft Edge】【Safari】以外のブラウザで演題登録はできません。それ以外のブラウザでは、ご利用にならないよう、お願いいたします。各ブラウザは、最新バージョンの使用を前提としております。
- オンライン演題応募後は、確実に応募が完了しているか「確認画面」にて演題応募番号とパスワードを用いて必ずご確認ください。
- 演題締切日近くになりますとアクセスしにくくなりますので、ご注意ください。
- 登録に関するお問い合わせにつきましてはUMIN一般利用者用のオンライン演題登録用FAQをご参照ください。
応募に関する注意事項
1.応募資格について
2.臨床研究に関する倫理委員会の承認について
URL:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/0000153339.pdf 参照
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」では、全ての研究に倫理委員会の承認を得る必要があります。
ただし、侵襲を伴わない研究であって介入を行わないものに関する審査、または軽微な侵襲を伴う研究であって介入を行わないものに関する審査に関しては、下記のように定められています。
「倫理審査委員会が指名する委員による審査(以下「迅速審査」という。)を行い、意見を述べることができる。迅速審査の結果は倫理審査委員会の意見として取り扱うものとし、当該審査結果は全ての委員に報告されなければならない。」
すなわち、たとえば一人の委員がみて承認し、他の委員に知らせることで倫理審査委員会の承認を得ることができます。貴施設におかれましては、このような体制を早急に整備し、発表までに審査を受けるようにしてください。
なお、今年度は臨床研究に関する倫理委員会の記入は必須項目となりますが、 記入の内容は演題採択の参考とさせていただくことに使用いたします。
3.利益相反自己申告について(筆頭演者の方へ)
1.第28回日本門脈圧亢進症学会総会に演題をご応募いただくにあたり、その演題において筆頭著者に下記の利益相反が生じる場合は、関係する企業などとのCOI状態を申告してください。
種類 | 内容の説明 | 申告の基準 (年間) |
---|---|---|
役員・ 顧問職 |
一つの企業や団体からの年間報酬額 | 100万円以上 |
株 | 一つの企業について1年間の株による利益(配当・売却益の総額) | 利益100万円以上/全株式の5%以上 |
特許権 使用料 |
一つの特許使用料として支払われた年間総額 | 100万円以上 |
講演料 など |
一つの企業や団体より、会議の出席(発表)に対し、研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料など)の年間総額 | 100万円以上 |
原稿料 など |
一つの企業や団体からパンフレットなどの執筆に対して支払われた原稿料の年間総額 | 100万円以上 |
研究費 /奨学寄付金 |
一つの研究に対して、一つの企業や団体が提供する研究費の年間総額/一つの企業や団体から1名の研究者代表者に支払われた年間総額 | 200万円以上 |
その他 報酬 |
一つの企業や団体から研究とは直接無関係なものなどに対して支払われた年間報酬額 | 10万円以上 |
2.抄録登録時申告方法手順
- 演題応募者は、演題登録の際に、登録ページの「利益相反の自己申告について」にて入力フォームに利益相反の有無を入力してください。なお、申告は発表者全員を取りまとめて、当該発表演題に関連した企業との金銭的なCOI状態を記入願います。
- 本COI申告は演題発表後2年間保管されます。不採用の場合は、破棄します。
- 抄録登録時から遡って過去1年間以内のCOI状態を申告して下さい。
日本門脈圧亢進症学会事務局
〒100-0003
東京都千代田区一ツ橋1-1-1パレスサイドビル
株式会社 毎日学術フォーラム内
3.申告いただいた利益相反状態は、総会での発表時、発表スライドの最後に開示してください。
利益相反ありの場合のスライド利益相反なしの場合のスライド
執筆要項
1.演題名
2.図表
3.抄録本文
演題登録
暗号通信(推奨)
平文通信
※オンライン演題登録システムFAQ:https://www.umin.ac.jp/endai/userfaq.htm
登録内容の修正・削除は、「確認・修正」ボタンより期間中何度でも可能となります。
登録番号(演題登録時に発行されたもの)と、パスワード(ご自身で入力されたもの)を入力してください。
画面上で修正し、最後に更新ボタンをクリックしてください。削除も同様の方法で可能ですが、一度削除しますと元には戻りませんので、「修正・削除」のボタンの押し間違いには、くれぐれもご注意ください。
演題募集に関するお問い合わせ先
(株)アーク・スリー・インターナショナル
旅行事業部 三浦琢磨
〒530-0012 大阪市北区芝田1丁目14-8 梅田北プレイス13階
TEL: 06-7633-0010 FAX: 06-7633-0013
E-Mail: jsph29@arc3.co.jp
國土 典宏(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 外科 理事長)
飯島 尋子(兵庫医科大学 消化器内科学)
障害肝に発生する肝細胞癌では門脈圧亢進症〈以下、門亢症〉の合併は高率であり、治療方針に大きな影響を与える。端的な例としては肝移植が普及している欧米では門亢症併存例は移植の適応であり、切除は適応外である(BCLCガイドライン)。一方、門亢症を有する消化器癌の手術においては術後の難治性腹水など合併症増加が問題となる。本シンポでは門亢症にフォーカスして門亢症のマネージメントを含む癌の治療方針、治療成績についての発表をお願いしたい。また、本邦のガイドラインでの門亢症の取り扱いについても議論したい。さらには門亢症まで進展した場合、SVR後の線維化は改善するのか否かについても明らかではない。線維化の進展と肝発癌リスクは大きく異なりスクリーニングの方法も議論の余地がある。以上のような観点から内科、外科、放射線科、病理など多彩な立場からの多くの演題を期待する。